
このような悩みにお答えします。
ボーカルのこもりはミックスや音楽制作における一般的なトラブルの1つです。本記事では、ボーカルのこもりを解消するための効果的なミックス手法をお伝えします!
この記事が役立つ人
- MIX初心者
- 歌ってみたのクオリティを上げたい歌い手さん、MIX師さん
ボーカルがこもる原因は?
そもそも何故ボーカルトラックがこもってしまうのか?
実はどの楽器でも言えることですが、こもりに感じる周波数帯域が100〜800Hzあたりに存在しています。
この周波数帯域の成分が多く含まれているとこもって聴こえてしまいます。
またボーカル単体でも起こりえますし、他の楽器と合わせて100〜800Hzに音が密集してしまうこともあります。

こもりを解消する具体的な方法
続いて濁りを解消する為の具体的な方法を6つご紹介します。
①レコーディング方法の確認と修正
まずそもそも、レコーディング段階ですでにこもりが発生している可能性もあります。
レコーディング時に注意すべきなのは
- マイクとの位置関係と距離
- 環境音
大きく分けてこの2つです。
ボーカルがこもっている場合、マイクと口の距離が近すぎる可能性があります。
通常、マイクから口までの距離は約 15cm ~ 30cm(スマホ1台くらい)が一般的です。マイクや環境によって変わるので、そこから角度も含めてレコーディングテストし、ベストな録音位置を探すのがおすすめです。

環境音に関しても、できる限りの工夫が必要です。
レコーディングブースのようなものを購入したり、レコーディングスタジオで録音するのがベストですが、難しい場合は服が敷き詰められたクローゼットの中で録音するなどできる限り静かで反響しない場所を選びましょう。

②イコライザー(EQ)による調整
こもったボーカルをクリアにするために1番簡単な方法はEQを使ってカットすることです。
まず、ボーカル素材から感じるこもりの成分がどこにあるか、ブーストしながら確認します。
だいたいのイメージですが
- 100〜400Hz:明らかにこもった音
- 400〜800Hz:鼻声のような、ラジオのようなこもった音
- 100Hz以下:ノイズ
が確認できます。なるべく細かく探してそのボーカルに感じるこもり成分が解消される部分をカットします。
しかし、100Hz以下はボーカルに必要ない音が含まれていることがほとんどです。以下の画像のようにハイパスフィルターでローカットしてしまいましょう。

③ダイナミックEQとマルチバンドコンプレッサーを利用する
ダイナミックEQやマルチバンドコンプレッサーをこもり成分の周波数帯域にかかり具合を調節しながらカットしてくれます。
EQよりも自然なかかり方をするので、使い方に慣れている人はおすすめです。

④高い帯域をカットしない

レコーディングした時は大丈夫だったけど、ミックスしてるうちにキンキン高音がうるさくなってきたり、「さ・し・す・せ・そ」などの歯擦音が気になってくることはありませんか?
正しい手順でローミッドをカットしたりコンプレッサーをかけていると相対的に高域部分が大きくなってしまいます。
ここでEQでハイカットしてしまうとせっかくローカットしたこもり成分がまた浮き出てきてしまいます。
対策としては
- カットしたローミッドを緩める
- ディエッサーで歯擦音をカットする
この2つが挙げられます。ここでローミッドとハイの「いい塩梅」を決めます。

⑤リバーブとディレイの適切な設定
リバーブとディレイは空間感を付加する効果ですが、過剰にかけるとボーカルのこもりを引き起こす可能性があります。
ボーカルに空間系をかける簡単コツとして
- オケと合わせたら分からないけど、単体で聴いたら分かるレベルの量
- 空間系の音は500Hz以下をローカットする
などが挙げられます。

⑥エキサイターやサチュレーションで音を変化させる
これはこもりの対処というよりは+αというイメージです。
サチュレーション:歪みによる温かみやアナログ感を加えて響きの色付をする処理
このようなエフェクトを使用することで、クリアさが向上することもあります。
サチュレーションはよく聞くディストーションなんかでも代用できます。

最後に
今回はボーカルのこもりの対策についてお話ししました。
ボーカルのこもりは音楽制作においてよくある問題ですが、適切なミックス手法を用いれば改善できます。
個人的にEQを用いて解消できた時は気持ちいいです。
レコーディング時からしっかり対策していればメジャーで聴くような明瞭なサウンドを手に入れることもできます。ぜひチャレンジしてみてください。